みなさん、こんにちは。Web編集者の一ノ瀬舞です。 今日は、最近話題の「将来の立ち退き料で大儲けできる不動産投資」について、私の失敗談(泣)をシェアします……。
天城先生の「デバッグ」診断
◆ 今回のバグ(問題点)
- 表向きのメリット:将来道路が通る際の収用(買い取り)で高利回りが狙える
- 隠されたリスク:業者の図面が適当で、実際は家ごと削られる「強制キャラデリ」状態
- 判定:即死レベル
本編:錬金術物件という無理ゲーについて
「天城先生! ついに私、不労所得への切符を手に入れました!」
2026年2月の凍てつく風を切り裂いて、私は天城先生の事務所に駆け込んだ。手には、不動産業者から受け取ったばかりの分厚いパンフレットと図面が握られている。
デスクの奥で大量のモニターに囲まれていた天城駆——無資格ながら簿記、宅建、FPの知識を極めた「構造の絶対音感」を持つ男——は、呆れたように眼鏡を押し上げた。
天城「いいかい、舞ちゃん。世の中は基本的に難易度調整をミスったクソゲーだ。そんな簡単に『レベルアップの種』が落ちているわけないだろう。で、今回はどんな毒リンゴをかじらされそうになってるんだ?」
舞「毒リンゴじゃありません! お宝物件です! A市にある中古の戸建てなんですけど、なんと『都市計画道路の予定地』に入ってるんですよ!」
天城「ほう。計画道路ね」
舞「業者の人が言うには、敷地の端っこ、庭の約11坪だけが将来の道路計画にかかってるらしいんです。今は普通に賃貸に出して家賃収入を得つつ、将来いざ道路工事が始まったら、国や県がその土地を高く買い取ってくれる『収用ボーナス』が確定してる錬金術物件なんですよ!」
私は意気揚々と、昨日カフェで聞いた業者の甘い言葉を並べ立てた。
舞「それに業者さん、こうも言ってました。『節税効果で、実質利回りはもっと高くなりますよ』って! しかも、『本来は公務員の方だけに特別にご案内している枠なんですが、一ノ瀬さんには特別に』って言ってくれたんです!」
天城「……」
天城先生は、深く、それはもう深くため息をついた。その表情は、初期装備のままラスボスに突撃しようとしている初心者プレイヤーを見る目のようだった。
天城「えっ、待って。これって『雨が降ったら傘をさす』くらい、普通の常識じゃないの?」
舞「えっ!?」
天城「舞ちゃん、君が今手に入れようとしているのは『将来のボーナス』じゃない。運営の利用規約(法律)を悪用した罠だ。その業者、典型的な詐欺の手口で君をハメようとしてるよ」
舞「さ、詐欺!? でも図面にはちゃんと、道路の線が庭の端っこにしかかかってないって……!」
天城「その『図面』は、誰が作ったものだい?」
舞「えっと、業者さんが渡してくれた『重要事項説明書』に付いてた図面ですけど……」
天城「そこだ。不動産投資において、他人が用意した『クエスト受注書(契約書と重説)』をそのまま信じるのは、目隠しで綱渡りをするようなものだ。業者が提示してきたその図面、おそらく『広域図』を適当に拡大解釈したものにすぎない」
舞「それ、翻訳すると『業者の図面はテキトーに線を引いただけ』ってことですか?」
天城「その通り。都市計画道路の計画線というものは、1センチズレただけで数千万の資産価値が吹き飛ぶ。業者は『端っこの11坪だけ』と言っているけれど、本当にそうか? 実際の計画線がもっと内側に入り込んでいて、建物のど真ん中を貫通していたらどうなると思う?」
舞「……家が、真っ二つ?」
天城「正解。もし道路が建物を分断するなら、いずれ建物を取り壊して立ち退くことになる。しかも、残った狭い土地には建築基準法の制限で二度と家が建てられないかもしれない。そうなれば、家賃収入の源泉である建物は消滅し、残るのは売るに売れないクズ土地と、毎月引き落とされる住宅ローンのDoT(継続ダメージ)だけだ」
舞「私の給料3ヶ月分、どころか一生の稼ぎが……!」
天城「業者は『将来道路ができれば値上がりして得をする』という幻想をエサにして、調査不足のゴミ物件を売りつけようとしているんだよ」
◆ 数字で見る「詰み」の構造
こちらは、天城先生が計算したシミュレーションです。
【3年後の収支予測(業者提示)】
- 収入:月10万円(家賃)
- 支出:月8万円(ローン等)
- 結果:毎月2万円の黒字。さらに将来数百万円の立ち退き料ボーナス!
天城「でも、ここに『実際の計画線』という係数を足すと……?」
果たして、私を待ち受ける真実とは!? 後半へ続く!