第32回 読書は「食事」ではない「対話」だ!著者と議論するディープ・リーディング術

皆さん、こんにちは!

「今日は本を3冊読み切ったぞ!」 「今年は100冊読了するのが目標です!」

SNSなどでよく見かける言葉ですが、アイザック・ワッツがこの光景を見たら、少し心配そうな顔をするかもしれません。なぜなら、ワッツにとって読書の価値は「どれだけ読んだか(量)」ではなく、**「どう読んだか(質)」**にこそあったからです。

今回は、情報をただ飲み込むだけの読書を卒業し、あなたの知性を根本から作り変える「著者との対話術」をご紹介します。

本を開くことは、偉人の「思考の部屋」に入ること

ワッツは、読書の最大の利点をこう述べています。 「読書によって、私たちはあらゆる時代の賢者たちの最高の思考を、いつでも、どこでも、わずかな費用で手に入れることができる」

考えてみれば、これはとてつもない魔法です。300年前のワッツとも、2000年前のソクラテスとも、本を開くだけで私たちは出会うことができます。

しかし、ここで多くの人が陥る罠があります。それは、本に書いてあることを**「絶対的な正解」として、そのまま鵜呑みにしてしまうこと**です。ワッツは、著者の意見を無批判に受け入れることは、自分の頭で考えることを放棄する「奴隷的な読書」だと警告しています。

「受け身の読書」から「攻めの対話」へ

ワッツ流の読書法において、読者は「観客」ではなく「対談相手」です。 本を読むとき、心の中に著者を招き入れ、次のような**「攻めの質問」**を投げかけてみてください。

  1. 「本当ですか?(真実の確認)」 著者の主張には十分な根拠があるか? 感情に流されていないか?
  2. 「それはなぜですか?(論理の追及)」 結論に至るまでのステップに、飛躍や矛盾はないか?
  3. 「別の方法はありませんか?(視点の拡張)」 著者はこう言っているけれど、第30回で学んだ「別の角度」から見たらどうなるだろう?

ワッツは、**「著者の言うことに同意するにせよ、反対するにせよ、必ず自分なりの『理由』を持つべきだ」**と説いています。著者に「はい、そうですね」と頷くだけでなく、「いや、その点は納得がいきません」「なるほど、でもこういう場合はどうなりますか?」と、心の中で議論を戦わせる。

この「知的格闘」こそが、あなたの思考力をムキムキに鍛え上げる最高のトレーニングになるのです。

100冊の「流し読み」より、1冊の「熟読」

現代は情報の洪水の中にあります。しかし、知性を高めるためには、時にはその流れに逆らう勇気が必要です。

ワッツのアドバイスは明快です。 「価値のある本を一度読むだけでは不十分だ。重要な箇所は二度、三度と読み返し、内容を自分自身のものにせよ」

  • 1周目:全体の流れを掴む(出会い)。
  • 2周目:重要な部分に線を弾き、著者の論理を解剖する(対話)。
  • 3周目:自分の言葉で要約し、自分の生活にどう活かせるか考える(統合)。

一冊の本を深く味わい、著者の思考プロセスを自分の血肉にすること。そうして得られた一滴の「知恵」は、ざっと読み飛ばした100冊の「知識」よりも、あなたの人生を強力に支えてくれます。

まとめ:本はあなたの「知的な鏡」になる

今回は、読書を「対話」に変える思考法についてお話ししました。

ポイントを振り返ってみましょう。 第一に、読書は情報の受け取りではなく、著者との「対等な対話」であること。 第二に、著者の言葉を鵜呑みにせず、常に「なぜ?」「本当か?」と問いかけながら読むこと。 第三に、量よりも質を重視し、優れた本と深く付き合うこと。

「読書」とは、著者の考えを借りて、自分自身の思考を磨く鏡のようなものです。本を閉じた時、読む前よりも少しだけあなたの視界がクリアになっていれば、その読書は大成功です。

【明日からできるアクションプラン】 今読んでいる本、あるいは手近にある本を10ページだけ読んでみてください。ただし、読み終わるごとに「この著者は今、何を一番伝えたかったのか? それに対して自分はどう思うか?」と自分に問いかけてみてください。 余白に「同意!」や「なぜ?」とメモを書き込んでみるのもおすすめです。その瞬間、本は「静かな紙の束」から「熱い対話の場」に変わります。

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