【最終回】2026年の勝者へ。富士通の「真の適正価格」とmakoの最終審判

こんにちは、makoです。

2025年の株式市場も大詰めですね。今年一年、あなたにとってどんな投資の年だったでしょうか?

富士通の分析を通して、一社の決算書をこれほど深く読み込んだ経験は、今後のあなたの投資人生において、何物にも代えがたい財産になるはずです。

第1回から第9回まで、私たちは以下のステップを歩んできました。

  • 第1〜3回:資産売却で得た6,400億円の現金という「最強の武器」を発見。
  • 第4〜6回:見かけのROEに騙されず、**本業の利益率改善(4.2%→7.7%)**と、誠実な株主還元を見抜いた。
  • 第7〜9回:**成長率+83.6%**の爆発力と、新ブランド「Uvance」の稼ぎの構造、そして潜むリスクを解剖した。

すべてのピースは揃いました。

それでは、2026年の富士通は、私たちにどんな景色を見せてくれるのでしょうか。


1. 徹底検証:富士通の「真の適正株価」を算出する

投資において、株価が「高いか安いか」は、常に利益とのバランスで決まります。

第7回で行ったシミュレーションをさらに一歩進め、複数のシナリオで適正価格(理論株価)を算出してみましょう。

計算には以下の数式(LaTeX)を使用します。

$$\text{適正株価} = \text{1株当たり利益 (EPS)} \times \text{期待される PER}$$

シナリオA:保守的シナリオ(成長が鈍化した場合)

DX需要が一段落し、利益成長が年率10%程度に落ち着くと仮定します。この場合、PERは市場平均並みの15倍程度が妥当です。

  • 2026年度予想調整後EPS:約156円(142.55円 × 1.1)
  • 156円 × 15倍 = 2,340円

シナリオB:標準的シナリオ(年26%成長を維持した場合)

第8回で算出した「3年でPER15倍」を目指す、年率26%成長のケース。ITサービス企業としての評価(PER 20倍)を適用します。

  • 2026年度予想調整後EPS:約180円(142.55円 × 1.26)
  • 180円 × 20倍 = 3,600円

シナリオC:強気シナリオ(現在の+83.6%の勢いが続く場合)

リレーティング(再評価)が起き、日立並みの高評価(PER 25倍)が定着するケースです。

  • 2026年度予想調整後EPS:約262円(142.55円 × 1.836)
  • 262円 × 25倍 = 6,550円

【makoの分析】

現在の株価4,253円は、この「標準」と「強気」の間に位置しています。つまり、今の株価は**「富士通が今後も26%を超える高い成長を続け、利益率をさらに向上させること」をかなり前向きに織り込んでいる値段**だと言えます。


2. 2026年の注目ポイント:何が起きれば「買い」か?

2026年、富士通の株価が4,253円を超えて5,000円、6,000円へと駆け上がるための「着火剤」は3つあります。

  1. 6,400億円を使った「大型M&A」の発表:手元の現金を眠らせず、海外の有力IT企業を買収し、Uvanceを世界展開させるニュースが出れば、株価は強気シナリオ(6,000円超)へ向かいます。
  2. 営業利益率の「2桁(10%以上)」到達:現在7.7%の利益率が、日立のように10%の大台に乗れば、投資家の評価は「製造業」から「高収益サービス業」へと完全に切り替わります。
  3. 自社株買いの継続的な実施:余剰資金を株主に返し続ける姿勢が継続されれば、下値が硬くなり、安心して持てる銘柄になります。

3. 最終審判:あなたは「買いボタン」を押すべきか?

全10回の分析を終え、私の最終的な判断を伝えます。

富士通(6702)に対する最終投資判断:【ホールド(継続保有)、または押し目買い】

【理由】

富士通は今、日本を代表する「変革の成功例」になろうとしています。

短期的に見れば、現在の4,253円はPER 30倍弱と決して安くはありません。年末年始の調整で少し下がる局面もあるでしょう。

しかし、**「本業の利益が前年比で8割も増えている」という圧倒的なモメンタム(勢い)**は、多少の割高感を吹き飛ばす威力があります。

  • 既に持っている人:2026年の成長を見届けるため、ガチホ(継続保有)を推奨します。
  • これから買いたい人:4,253円で一気に買うのではなく、株価が調整したタイミングで少しずつ買う(積立・分散投資)のが、リスクを抑えた賢い戦略です。

4. 2025年の終わりに:makoからのメッセージ

2025年、富士通という一社の決算書をここまで深く読み解いたあなたは、もう「ただの個人投資家」ではありません。

数字の裏側にある企業の努力、現金の使い道に込められた経営陣の覚悟、そしてライバルとの熾烈な戦い。それらを理解して投資することは、単にお金を増やす以上の**「知的な冒険」**だったはずです。

投資の世界に「絶対」はありません。しかし、**「納得」**はあります。

「なぜこの株を持っているのか」を自分の言葉で語れるようになったとき、相場の荒波に振り回されない真の強さが手に入ります。

2026年も、富士通は私たちを驚かせてくれるでしょう。その時、このマスター講座で学んだ「分析の眼」が、あなたの羅針盤になることを願っています。

良いお年をお迎えください。そして、2026年があなたにとってさらなる飛躍の年になりますように!


makoの最終投資判断:9/10点

【評価理由】

財務の安全性、成長の加速度、株主還元の姿勢、そしてビジネスモデルの転換。どれをとっても現在の日本株の中でトップクラスのクオリティです。唯一の懸念は「期待値の高さ(PER)」ですが、それを上回る利益成長のスピードを確認できました。2026年の主役候補として、自信を持って9点を進呈します。


免責事項

本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を勧誘するものではありません。数値や分析は2025年12月時点の公開情報に基づいたAIによる解釈であり、将来の成果を保証するものではありません。投資の最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。

(出典:富士通株式会社 2026年3月期 第2四半期決算短信)

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