「そろそろ家のパソコン、買い替えどきかな」 「子供が大学で使うノートPC、必要だけど…」
そう思って家電量販店やネットショップのサイトを開き、値段を見て**「えっ、こんなにするの!?」**と絶句した経験はありませんか?
実は今、2025年の年末にかけて、パソコンの価格、特にその中枢部品である「メモリ」の価格が急激に上がっています。10月、11月と値札が書き換えられ、気づけば一昔前の倍近い値段になっているものさえあります。
「円安だから仕方ない?」 もちろんそれもあります。でも、今回の値上がりには、もっと私たちの生活に身近で、意外な「犯人」が潜んでいるのです。
今回は、難しい専門用語は極力抜きにして、以下の3つの疑問に答えていきます。
- なぜ今、パソコンの値段が上がっているのか?
- 「私はWordで文章を書くだけだから、古いPCのままでもいいの?」
- 高くて買えない時の「裏技」はないの?
特に3つ目は、私自身も実践している**「お金をかけずに古いPCを爆速化させる方法」**です。 40代ガジェット好きの視点から、この「PC冬の時代」を損せずに乗り切る知恵をシェアします。
1. なぜ、私たちのパソコンが「AI」にとばっちりを受けているのか
最近、ニュースで「生成AI(人工知能)」や「ChatGPT」といった言葉を聞かない日はありませんよね。 実は、このAIブームこそが、パソコン価格高騰の最大の原因なのです。
「AIと私のノートパソコンに何の関係があるの?」と思いますよね。 仕組みはこうです。
パソコンやスマホの中には、「半導体(はんどうたい)」という小さなチップがたくさん入っています。このチップを作る工場は、世界に数えるほどしかありません。 今、GoogleやMicrosoftといった世界の巨大企業が、AIを動かすための「超高性能なチップ」を喉から手が出るほど欲しがっています。
工場側からすると、私たち一般人が使う普通のパソコン用のチップを作るよりも、巨大企業向けの「AI用チップ」を作った方が、圧倒的に儲かります。 その結果、工場はAI用チップの生産に全力を注ぎ始めました。
するとどうなるか? 「普通のパソコン用の部品」が後回しにされて、数が足りなくなるのです。
スーパーで例えるなら、高級レストランが「最高級の食材」を市場からすべて買い占めてしまって、家庭用の普通の食材が品薄になり、値段が高騰しているような状態です。 私たちが便利に使っているAIの裏側で、実は私たちのパソコン代が「とばっちり」を受けている。これが2025年現在の実情なんです。
2. 「文書作成だけ」なら古いPCや安いPCでもOK?
さて、ここからが本題です。 「私は動画編集もしないし、ゲームもしない。WordやExcelで文書を作るだけだから、5年前の古いパソコンや、一番安いモデルで十分でしょ?」
この質問、よく受けます。 結論から言うと、**「半分正解で、半分間違い」**です。
「純粋なタイプライター」としてならOK
もしあなたが、インターネット接続を切って、ただひたすらWordに向かって文字を打ち込むだけなら、古いパソコンでも十分です。文字入力という作業自体は、パソコンにとって非常に軽い作業だからです。
しかし、「現代の文書作成」は意外と重い
ですが、胸に手を当てて考えてみてください。 あなたが文書を作成する時、Webブラウザ(ChromeやEdge)を開いていませんか?
- 漢字や言葉の意味を検索する。
- 情報を裏取りするためにニュースサイトを見る。
- 画像をフリー素材サイトから探してくる。
- 出来上がったファイルをメールやクラウド(Googleドライブなど)にアップする。
現代の「文書作成」は、「Webブラウザでの検索」とセットであることがほとんどです。 そして、このWebブラウザこそが、実は「メモリ食い」のモンスターなのです。
パソコンの「メモリ」とは、**「作業机の広さ」**のことです。 最近のWebサイトは、綺麗な写真や動画広告がたくさん表示され、見ているだけで机の上のスペース(メモリ)を占領していきます。
「文書作成だけだから」と思ってメモリの少ない(4GBや8GBの)古いPCを使うと、裏でブラウザを開いた瞬間に机が満杯になり、文字入力の変換すらカクつくようになります。
「文字を打ちたいだけなのに、変換が出るまで一拍待たされる」 これほどストレスフルなことはありません。 ですので、「ネットを見ながら作業する」のであれば、たとえ文書作成がメインであっても、ある程度のスペック(広い机)が必要になるのです。
3. もし買うなら、「カモ」にされないための合言葉はコレ
もし、あなたが新しいパソコンを買う決断をしたなら、価格高騰中の今、失敗は許されません。 「安物買いの銭失い」を避けるための、たった一つの合言葉をお教えします。
それは、**「メモリは最低16GB(ジュウロクギガ)」**です。
家電量販店のチラシには、安さをアピールするために「メモリ8GB」のモデルが大きく掲載されていることがあります。 しかし、今はWindows 11自体が高機能になり、何もしていなくてもメモリを消費します。8GBのパソコンを買うということは、**「買った時点で、すでに机の上が半分埋まっている状態」**を買うようなものです。
これから3年、5年と使うなら、16GBが今の時代の「普通の基準(スタンダード)」です。 ここさえ守れば、大きな失敗はありません。
4. 【裏技】買わずに戦う!古いPCを「ChromeOS Flex」で蘇らせる
「でも、やっぱり高くて今は買えない…」 「家にある古いパソコン、捨てるのはもったいない…」
そんな方に、私が実践している**「第3の選択肢」をご紹介します。 それは、「中身(OS)を入れ替えて軽くする」**という方法です。
Windowsという「重い荷物」を捨てる
古いパソコンが遅い原因の多くは、機械そのものの劣化ではなく、**「最新のWindowsが重すぎて、パソコンの体力が追いついていないこと」にあります。 そこで、思い切ってWindowsの使用をやめ、Googleが無料で提供している軽量OS「ChromeOS Flex(クロームオーエス・フレックス)」**をインストールするのです。
これは、古いパソコンを「Chromebook(クロームブック)」化してしまうツールです。 Windowsを削除してこれを入れると、「起動に3分かかっていた10年前のノートPC」が、「スイッチを入れて数秒で立ち上がる爆速マシン」に生まれ変わります。
実際に何ができるの?
私も古いノートPCにこれを入れていますが、驚くほど快適です。
- ネットサーフィン・動画視聴: 爆速です。YouTubeもサクサク動きます。
- 文書作成: WordやExcelのインストール版は使えませんが、GoogleドキュメントやWeb版のOfficeなら問題なく使えます。
- エンタメ: ブラウザで動くゲームなら快適です。例えば「Antigravity」のような物理演算を使ったブラウザコンテンツも、ストレスなく楽しめます。
「年賀状ソフト」や「iTunes」など、Windows専用のソフトは使えなくなりますが、もしあなたの用途が「ネットと文章書き」に特化しているなら、これほど強力な節約術はありません。
2025年10月にはWindows 10のサポートも終了します。「危険だから捨てる」前に、「中身を入れ替えて子供用やサブ機にする」という選択肢をぜひ検討してみてください。
5. 結論:「待つ」か「買う」か、それとも「入れ替える」か
最後にまとめます。
- 新しいPCを買うなら: ケチらず**「メモリ16GB」**以上を選ぶ。これが数年先までの快適さと、あなたの集中力を守ります。
- 古いPCで粘るなら: Windowsの遅さに限界を感じたら、**「ChromeOS Flex」**で中身を軽量化するのもアリ。
- 買い時はいつ?: Windows PCが必要なら、これ以上値上がりする前の年末年始が勝負。AIブームはまだ続くため、当分安くなる見込みは薄いです。
選択肢は一つではありません。 「高い高い」と嘆くだけでなく、自分の用途に合わせて「賢い選択」をしてください。 新品を買って快適さを手に入れるもよし、古いPCを改造して愛着を持って使い続けるもよし。
この記事が、あなたのデジタルライフを見直すきっかけになれば嬉しいです。
※PCに関する他のレビューや、ガジェット選びのヒントは、私のブログことだまブログでも紹介していますので、よかったら覗いてみてください。
※免責事項 本記事は2025年12月時点の市場状況に基づいた個人的な見解です。PCパーツの価格や在庫状況は日々変動します。また、ChromeOS Flexの導入はPC内の既存データ(Windowsなど)をすべて消去します。試す際は必ずデータのバックアップを取り、自己責任で行ってください。本記事の内容に基づいて生じた損害等について、筆者は一切の責任を負いかねます。