こんにちは。
突然ですが、あなたは旅行の移動手段を決めるとき、どこまで計算していますか?
「新幹線は高いから車で行こう」
「レンタカー借りて割り勘すれば安いよね?」
「いやいや、最強なのは高速を使わない『下道』でしょ!」
移動手段の選択肢は無数にあります。しかし、**「人数」「距離」「宿泊数」「車の所有有無」**という変数を組み合わせたとき、本当の最安値(そして最適解)がどれなのか、パッと答えられる人は意外と少ないものです。
「安く済ませたつもりが、レンタカー代とガソリン代で結局新幹線より高くなった…」
「下道で行ったら疲労困憊で、現地で何も楽しめなかった…」
そんな失敗を防ぐために、今回は私が持てる知識を総動員して、**移動コストの「完全比較」**を行います。
今回は、リクエストの多い**「レンタカー利用」と、禁断の移動術「オール下道(高速なし)」**まで含めて徹底検証しました。
かなりの長文ですが、この記事には**「100kmあたりの移動単価表」**という、今後一生使える指標も載せています。ぜひブックマークして、旅行の作戦会議に使ってください。
第1章:プレイヤー紹介。今回の検証にエントリーする5つの手段
まずは選択肢の整理です。今回は以下の5パターンで戦います。
- 新幹線(王道):速い、快適、高い。
- 飛行機(LCC):条件付きで爆安。ただし荷物と空港移動に難あり。
- マイカー(高速利用):ファミリーの味方。
- マイカー(下道利用):【今回追加】 時間を犠牲にお金を守る、賛否両論の「修業&極楽」コース。
- レンタカー(高速利用):【今回追加】 車なし層の救世主。ただし「基本料金」の壁が高い。
第2章:【徹底シミュレーション】東京〜大阪(約500km)
最も比較しやすい「東京〜大阪間(片道約500km)」で、全ての選択肢を並べてみます。
※ガソリン代は175円/L、燃費15km/L、レンタカーはコンパクトカー(24時間8,000円想定)で計算します。
1. 公共交通機関チーム
A. 新幹線(のぞみ指定席)
- 料金: 約14,720円
- 時間: 2時間30分
- 特徴: 圧倒的王者。お金で時間を買うならこれ。
B. 飛行機(LCC・成田〜関空)
- 料金: 約6,000円 + 空港移動 約2,900円 = 計8,900円
- 時間: 約4時間30分
- 特徴: 1人ならコスパ最強。ただし荷物制限あり。
2. クルマ・チーム(マイカー編)
C. マイカー(高速フル利用)
- 高速代: 12,000円(深夜割なら8,400円)
- ガソリン: 約5,833円
- 合計: 17,833円(深夜割なら14,233円)
- 時間: 6〜7時間
- 特徴: 複数人なら安いが、1人だと新幹線より高い「富豪の遊び」。
D. マイカー(オール下道・高速なし)
- 高速代: 0円
- ガソリン: 約5,833円(※ストップ&ゴーで燃費が悪化するため、実際は+αかかりますが、一旦同条件で計算)
- 合計: 5,833円
- 時間: 12〜15時間
- 特徴:破壊的安さ。 東京〜大阪が6,000円でお釣りが出る。
- 修業の側面: 終わりの見えない運転、渋滞のストレス。ただの移動と捉えると「地獄」を見ます。
- 極楽の側面: 浮いた1万円で現地の高級食材を食べるもよし。道中で見つけた味のある食堂や、絶景の道の駅に寄り道し放題。「プロセスを楽しめる人」には最高の旅になります。
3. クルマ・チーム(レンタカー編)
E. レンタカー(高速フル利用・1泊2日想定)
- レンタカー代: 16,000円(2日分)
- 高速代: 12,000円
- ガソリン: 5,833円
- 合計: 33,833円
- 時間: 6〜7時間 + 手続き時間
- 特徴: 車を持っていなくても「ドライブ旅」ができるが、コストのハードルは一気に上がる。
第3章:【人数別】損益分岐点はここだ!
さあ、ここからが本番です。人数によって「正解」はどう変わるのか? レンタカーと下道の破壊力を見てみましょう。
【1人旅の場合】
- 下道マイカー: 5,833円(最強の安さ)
- LCC: 8,900円
- 新幹線: 14,720円
- 高速マイカー: 17,833円
- レンタカー: 33,833円
👉 結論:
体力に自信があるなら「下道」が優勝。
普通の社会人なら「LCC」か「新幹線」。
1人でレンタカーを借りて長距離移動するのは、よほどのドライブ好きか、荷運びの事情がない限り「大赤字」です。
【2人旅の場合】
- 下道マイカー: 5,833円 ÷ 2 = 約2,900円/人(価格破壊!)
- LCC: 8,900円/人
- 高速マイカー: 17,833円 ÷ 2 = 約8,900円/人
- レンタカー: 33,833円 ÷ 2 = 約16,900円/人
- 新幹線: 14,720円/人
👉 結論:
マイカー持ちなら、高速を使ってもLCCと並びます。深夜割引を使えば車の方が安くなります。
要注意なのが「レンタカー」です。 2人で割っても1人約1.7万円となり、なんと新幹線(指定席)より高くなります。
「2人ならレンタカーがお得だよね」という思い込みは危険です。2人なら新幹線の方が安くて楽です。
【4人旅の場合】(家族・グループ)
- 下道マイカー: 約1,450円/人(もはやタダ同然)
- 高速マイカー: 17,833円 ÷ 4 = 約4,450円/人
- レンタカー: 33,833円 ÷ 4 = 約8,450円/人
- LCC: 8,900円/人
- 新幹線: 14,720円/人
👉 結論:
ここでようやく「レンタカー」が輝き始めます。
4人で割れば、レンタカーでも新幹線より圧倒的に安く、LCCと同等以下になります。
マイカー(高速)なら1人4,000円台。新幹線の3分の1以下です。浮いたお金で高級旅館に泊まれます。
第4章:【見落とし厳禁】宿泊数と荷物量で「逆転」が起きる
コスト計算で見落としがちなのが**「荷物」**です。特に「1泊」か「3泊」かで、LCCの優位性は消滅します。
1. 「3泊以上・冬物衣類・お土産あり」の場合
LCCは受託手荷物料金がかさみ、往復で+4,000円〜かかることも。
ここで強いのが**「車(マイカー・レンタカー)」**です。
荷物がどれだけ増えても追加料金ゼロ。特にレンタカーの場合、普段は軽自動車でも、この時だけ「ミニバン」を借りれば、快適性と積載量を手に入れられます。
2. 「レンタカー」の時間オーバーに注意
レンタカーは「時間制」です。渋滞(特に下道利用時)に巻き込まれて返却時間が遅れると、超過料金が発生します。
「下道で節約しようとしたら渋滞で3時間遅れ、延長料金を取られて結局高くついた」というのは、レンタカーあるあるです。レンタカー利用時は、余裕を持って「高速利用」を前提にするのが安全です。
第5章:【保存版】迷ったらこれを見ろ!「100kmあたりの移動単価」表
今後、旅行の計画を立てるたびに計算するのは面倒ですよね。
そこで、全ての移動手段を**「100km走るのにいくらかかるか(1人あたり)」**という単価に換算しました。
この表を見れば、距離(km)を掛けるだけで概算が出ます。
※東京〜大阪(500km)を基準に算出。レンタカーは1日400km走行と仮定。
| 移動手段 | 1人あたりの単価(/100km) | コメント |
| 新幹線 | 約 2,950円 | 常に一定。速さと快適さの代償。 |
| レンタカー (1人) | 約 6,700円 | 最悪のコスパ。 ほぼ罰ゲーム。 |
| レンタカー (2人) | 約 3,350円 | まだ新幹線より高い。旨味なし。 |
| レンタカー (3人) | 約 2,230円 | ここで新幹線より安くなる! |
| レンタカー (4人) | 約 1,670円 | LCCよりお得。荷物が多いなら最適解。 |
| マイカー高速 (1人) | 約 3,560円 | 実は新幹線より高い。 |
| マイカー高速 (4人) | 約 890円 | 激安ゾーン突入。 |
| マイカー下道 (1人) | 約 1,160円 | 1人でもLCC以下の爆安単価。 |
| マイカー下道 (4人) | 約 290円 | 異次元。 缶コーヒー2本分で100km移動。 |
【この表のポイント】
- レンタカーの「2人の壁」: 2人旅行でレンタカーを借りると、実は新幹線より高くつくことが多い。3人以上集めるのが鉄則。
- 下道の狂気と魅力: 4人で下道を行けば、100kmあたり290円。500km走っても1人1,500円。圧倒的節約ですが、同乗者全員が「旅のプロセス」を楽しめるメンタルを持っているかが鍵です。
- マイカーの強さ: やはり「自分の車」がある強みは大きいです。基本料がかからないため、高速を使っても4人なら100kmあたり1,000円を切ります。
第6章:結論。あなたにおすすめのスタイルは?
これまでの検証を踏まえた、最終的なおすすめパターンです。
1. 【車なし・2人旅】→ 新幹線 or LCC
無理にレンタカーを借りる必要はありません。コスト的にもメリットが薄く、運転の疲れで喧嘩になるリスクも(笑)。お酒を飲んで駅弁を食べて、優雅に新幹線移動しましょう。
2. 【車なし・3〜4人・荷物多め】→ レンタカー
3人を超えたらレンタカーの出番です。「割り勘」の魔法で、新幹線より安く、プライベート空間も確保できます。サービスエリア巡りも楽しめますよ。
3. 【マイカーあり・家族旅行】→ 車(高速利用)
迷う必要はありません。車です。浮いた数万円で、現地のホテルをグレードアップしましょう。パパは運転頑張ってください!
4. 【時間はある・旅の「味」を楽しみたい】→ 下道(マイカー)
これは単なる節約術ではなく、**「考え方次第で極楽になるコース」**です。
高速道路では絶対に出会えない景色、地元の人しか知らない名店、ふらっと立ち寄る温泉。
「目的地に早く着くこと」だけが旅ではありません。「移動する時間そのもの」を冒険として楽しめる人にとっては、浮いた高速代で贅沢な食事ができる、最強のプランになります。
ただし、体力勝負であることは変わりないので(まさに修業!)、無理のないスケジュールで楽しんでください。
まとめ
「移動」は単なる手段ですが、旅の予算の大きな部分を占めます。
「なんとなく」で選ばず、今回の**「人数×距離×レンタカー有無」**のロジックで選べば、旅の質を落とさずに数万円の節約が可能です。
ぜひ、次の旅行計画では電卓を叩いてみてください。
浮いたお金で食べる旅先の食事は、きっと格別の味がするはずです。
それでは、安全運転で良い旅を!
※免責事項:
本記事のシミュレーション結果は、執筆時点(2025年想定)の概算価格に基づいています。ガソリン価格の変動、レンタカー会社の料金体系、季節による航空券価格の変動により、実際の金額は異なります。特に下道利用時の疲労や事故リスクについては、十分にご自身の体調と相談の上で判断してください。筆者は移動に関する一切のトラブルについて責任を負いかねます。