大学生にとって今後の人生を左右する就職活動に対して大きな話がありました。9月に経団連会長が採用指針の廃止を表明しました。採用指針とは、以下の点を十分配慮してくださいと企業に依頼している事項のことです。
1)公平・公正な採用の徹底
2)正常な学校教育と学習環境の確保
3)採用選考活動開始時期
4)採用内定費の遵守
5)多様な採用選考機会の提供
要するに、
学生の学業に影響を与えるような就職活動の日程はやめてください。また、弊社に来てほしいからと他社に受けることを妨害したりしないでください。3月から募集をかけて、6月から選考活動を行ってください。内定は10月以降に発令してください。留学している学生や海外の大学生には、上記日程以外にも対応してください。なお、卒業後3年間は新規卒業生と同じように扱ってください。
と、依頼している内容です。この指針をなくすことを表明しました。いつでも、採用を行うことができるようにしましょうと表明しました。
1.これまでの就活
これまでにも、採用期間は何回か変わっていることは、新聞やニュースで聞いていると思います。どれくらい変わっているのでしょうか?
2015年は、12月に説明会を実施して、4月に選考活動を行っています。
2016 年は、3月に説明会を実施して、 8月に選考活動を行っています。
2017年は、3月に説明会を実施して、 6月に選考活動を行っています。
2018年は、 2017年と同様でした。ちなみに、内定は10月になっています。
しかし、このスケジュールより早く実施している企業も多くあり、お願い程度のモノです。大学生側としては、時期は決まっていた方がいいように感じますがどうなんでしょうか。4年制大学であれば、3年生になったあたりから、就職活動を開始する必要があります。その後、4年生の中頃に就職が決まって卒論という感じでしょうか?
採用指針に従わないで選考を行っている企業は、大手企業より早く優秀な学生を採用したいため早めていると考えられます。時期がずれると、受ける機会が増えますので、良い感じもしますが、どうなんでしょうか?大学生にとっては、機会は増えますが、その分就職活動にかかる期間が長くなるため、本来の学業が疎かになる可能性はあります。しかしながら、日本の場合は、大学卒業時の就職活動が大変重要となっています。なぜならば、成果主義により年功序列はなくなってきましたが、まだ、終身雇用制度が残っており、優良企業に入った場合、そのまま勤め上げることが多いからです。(最近では、大手企業でも買収や収支が振るわない企業も増えています。盛者必衰のとおり、大手企業は盛者ですので、普通に考えると必衰しかないので、大変なはずなんですが、安定を求めると大手企業に行きたくなりますよね)
話を戻しますが、なぜ、採用指針を廃止するか?守られていないこともあるかもしれませんが、本質は、「従業員の流動化」を図りたいのかなと思います。そもそも、大学卒業後に就職するっていう形自体なくしたいのかしれませんね。極端な話では、大学1年生の時に就職して、仕事をしながら、大学に通うことがあってもいいのではないでしょうか?こうなってくると、年齢は関係なくなることになり、会社にとって有益な方を採用できるようになるかもしれません。日本企業にとって「終身雇用制度」が良しも悪しも影響しているのですね。
従業員の流動化が始まると、不具合はないのでしょうか?良い面だけを見ると、優秀な人材を採用しやすくなり、また、不要な人材を退職させやすくなります。しかしながら、不要な人材となった場合、生活が不安定になるように感じませんか?2極化が更に大きくなるのではないでしょうか?
失われた10年?20年?と言われていますが、本当は一部では失われておらず、2極化により大多数側が失われて10年20年となっているのではないか。このままいくと、失われた30年にいくかもしれません。